Column

長年YTJのジョセフに携わってきた演出スタッフが語る、特別インタビュー!

出演者として、裏方スタッフとして、そして、演出スタッフとして・・・様々なポジションでYTJのジョセフに携わってきたYTJスタッフ若井さんに、ジョセフの魅力と、演出スタッフとして作品に掛けた想いをインタビューしました!



――今回、『ジョセフ』にかかわるポジションを教えてください。
若井:演出と照明です。あまりない、すごい組み合わせだと思うんですけど(笑)。以前所沢YTJホールで照明をやっていた点と、ジョセフにずっと関わってきたので、代表の植木さんの演出を理解している点から今回このような形で携わらせていただくことになりました。



――この『ジョセフ』に携わられて10年と伺いました。出演されていたこともありますよね?今までの公演比べて、今回の『ジョセフ』の違いは何ですか?
若井:出演したのは6回です。はじめは砂漠をイメージした幕に映像を投影するような演出でした。それから始まって、どんどんセットや小道具が増えていって、実はファラオが持っている小道具も、僕が作ったものがあるんです。愛着ある小道具や衣装もあって年々グレードアップしていますが、一番は出演者たちの進化が大きいです。
それだけ、YTJにとって、ジョセフが慣れ親しんでいる公演ということもありますが、作品のもつメッセージ力が強くなってきているのを感じます。たとえ大きなセットがなくても、出演者たちそれぞれ自身の気持ちの成長が強くあると思っています。



――演出側になってみて、新たな発見はありましたか?
若井:演出は、とても難しいです。出演者が持っている力を引き出すのが演出の役割だと思っているのですが、それをされている植木さん(YTJ劇団代表)が本当に素晴らしいんです。改めて、すごい!と感じました。
例えばキャストからの提案や、キャストが「こうしたい!」といったことをどんどん引き出して、作品を良い方向にもっていく。演出家が指示をするのではなくて、ある程度出演者に自由にしてもらうことで、良いものができるというふうに考えて、演出をしています。
あとは、曲の1番と2番の歌詞の意味や曲調を、より深い部分で理解するようになりました。そういった気づきというのは、10年目にして新たなことだったかな、と思います。



――小劇場での公演になったことの、良さはありますか?
若井:お客様との距離感というのは大事にしたいと思っています。コロナ対策はしたうえでの開催にはなりますが、大きな劇場よりも、お客様にはより顔の表情が見えるといったことで、没入感に繋がるかな、というところ。
確かに大きな劇場だと、大がかりなセットはあって圧巻はもちろんあるんですが、映像と芝居だけで構成されるものは、見やすさにもつながります。
映像には小ネタが入っていたりもしますし、キャストの表情はもちろんのこと、あらゆるところをみて楽しんでいただきたいです。



――10月30日(土)、31日(日)と関東公演があります。ここがオススメです!といったポイントは?
若井:そうですね。キャストが楽しんでやっているのをみて、お客様をその楽しさに巻き込めるように意識して、演出をしているので、注目してほしいポイントのひとつかなと思います。ジョセフはコメディミュージカルなので、あらゆるところに笑えるポイントがたくさん盛り込まれています。その良さを最大限引き出すようにしています。



――笑いの演出(ネタ)は自分たちで考えているんですか?
若井:考えている部分もあります。
しかも、基本的には提案型でやっているんです。キャストの皆が提案したものに対して、「いいね」とか「こうしてみるのはどう?」といいところを出し合って、考えています。



――今回の関東公演に出演するキャストの雰囲気はどうですか?
若井:この作品自体が全編英語、かつほぼ歌で構成されているミュージカルです。
そこが出演者にとっては第一のハードルだとおもいます。英語の歌に抵抗のある出演者もいれば、そうでない出演者もいるなかで、準備期間がそれほど長くなかったため、どのように演出していくかに課題はありました。
ただ、先週の日曜日が稽古場での最終レッスンだったのですが、出演者たちが一気に成長していて驚きましたね。全員が集まって稽古する時間もあまりなかったのですが、いざ集まると集中力が上がって、お互いの声掛けをしていて、高め合えているんだなと感じました。



――YTJで『ジョセフ』公演をやる意義はどこにあると感じていますか?
個性豊かなキャストが揃っているところです。いろんな人が出演していて、舞台を通じてひとつになる、まさにYTJの大所帯のようなところがあります。
そして、ジョセフの良さは、いろんな世代に刺さるストーリーだとおもっています。幼稚園児・小学生・中学生がみてもすごい楽しいと思いますが、大人は別の視点で作品を楽しんでもらえると思います。全年代対象のミュージカルはなかなかないですし、ジョセフを通じて、出演者側と観劇側でお互いに気づきがある作品だと思います。



――作品自体がもつメッセージとは?『ジョセフ』を通じて伝えたいことを教えてください!
若井:「夢を持つことの大切さ」をしっかり伝えたいです。
作中で「Any Dream Will Do」という歌があるんですが、「どんな夢でもいいんだよ」と伝えています。その曲の中にジョセフ自身のストーリーが込められている歌詞になっているんです。
実際に“夢はあるけど、現実をみると、その夢に走って行っていいのかわからない”という人、多いんじゃないかなと思います。この歌では「ためらわなくていい、夢にむかってはしることが素敵なこと」も含まれているなと、僕は感じていて、それをしっかり伝えたいです。

あとは、まだまだコロナ禍ということもあり、世の中に“笑顔”が減っているな…と常々感じています。ジョセフはコメディミュージカルなので、あらゆるところに笑えるポイントがたくさん盛り込まれています。全員が毎日マスクして、1年以上過ごしていて。子供も、大人も、笑顔になる機会が減っていると思うので、ジョセフを観てお腹抱えるほど、笑ってほしいですね。



――ちなみに、若井さんが一番好きな歌はなんですか?
若井:「Pharaoh’s Expreinded」です。ファラオの曲のあとに、「あれは、こういうことだったんだ!」とジョセフが歌う場面の曲です。あの曲調がすごく好きなんです。ジョセフの作品自体が、いろんなジャンルの音楽をぎゅっと詰め込んだようなミュージカルなんですが、その良さがでているなと思っています。



――最後に、皆様にひとことお願いします!
ぜひ劇場にきて、笑って帰ってほしいです。ミュージカルみるときは前段階で勉強したりすることもあると思うんですけど、気負いなく、気軽に、観に来ていただけたら嬉しいです。本当に、出演者のおかげですが、面白いミュージカルに仕上がっています。普段の僕は自信ないですが(苦笑)、これだけは自信もって「面白い」って言えます!!